中学受験算数

中学受験の「算数」の勉強で一番大事なのは「解法」です。「自分の感覚に合わない解法」で教わると本来わかるものもわからなくなります。算数が苦手だと言っていた子どもでも「自分にピッタリの解法(考え方)」に出会ったその日から算数がどんどん楽しくなって得意科目になったりするんです。

逆比

池の周りの兄と弟(2)5

前回の問題はこれ↓でした。

≪問題≫
ある池の周りを兄と弟が反対方向にまわると10分ごとに出会い、
同じ方向にまわると兄が弟を50分ごとに追い越す。
兄と弟の速さの比(兄:弟)はいくらか?

【式】
(5+1)÷2=3
(5−1)÷2=2

・正答 3:2(兄:弟)


この問題はモロに「パターン」なので、少ぉし難易度を上げて みましょう。


≪問題≫
ある池の周りを兄と弟が反対方向にまわると10分ごとに出会い、
同じ方向にまわると兄が弟を50分ごとに追い越す。
この池を弟は何分で1周するか?


maeno kotae wo hint nishite jibunde kangaete ne!








【解法その1】

・時間の比が1:5なので速さは逆比で5:1

 「兄と弟の速さの和」:「兄と弟の速さの差」=5:1

すなわち、「兄+弟」:「兄−弟」=5:1

 大小2数の「和」と「差」がわかっているとき2数は「和差算」ですぐ出る!
 
(5+1)÷2=3 
(5−1)÷2=2
  
  兄:弟=3:2(速さの比)

-----------ここまでは同じ----------------

弟の速さが2と求まったので、あとは「池1周」の距離がわかれば、

 池1周の距離÷弟の速さ

という式で、弟が1周する時間はすぐ出る。

「池1周」の距離を出会いの条件を使って求めると、

(3+2)×10=50 【2人の速さの和×出会いの時間=出会いの距離(池1周)】

これで、

「池1周の距離」が「50」とセッティングできたので、

あとは、

50÷2=25 【池1周の距離÷弟の速さ=かかる時間】

正答 25(分)


この解法で十分だと思いますが、もっと速く解きたければ・・・



【解法その2】もっと速い解法

・兄:弟=3:2(速さの比)を求めるところまでは同じですが、

ここで、兄の速さ・弟の速さ・速さの和・速さの差を同列に並べます!

  兄:弟:和:差
   3:2:5:1

すると、弟:差=2:1 とすぐわかりますね。

「弟の速さ」:「速さの差」=2:1なら「時間」はその逆比で1:2になります。

すなわち、

「弟のかかる時間」:「追いつきの時間」が1:2ということです。

ここで、追いつきの時間は50分とわかっているので、

弟のかかる時間はその1/2の25分と瞬間的にわかって終了です。

正答 25分


■旅人算の学習においては最初は兄や弟など一人一人の「速さ」のイメージを
しっかりつけて、
その後は、出会いのときの「速さの和」や追いつきのときの「速さの差」も
一人一人の速さと同じ感覚で扱えるようにしていくことが
難易度が上がった問題を解くときに役立ちます。

同じ感覚で扱う、とは、比のバランスで見渡せる力をつける、ということです。


尚、この問題で弟のかかる時間ではなく「兄のかかる時間」を問われると、
答が分数になるのでヤマカン正解が減って正答率が下がります。
ということで、兄についてもやってみてください。

※正答 16と2/3分(兄が池1周にかかる時間)



次回に続く・・・


逆比と和差算のあわせ技

前回の問題をもう一度。

≪問題≫
ある池の周りを兄と弟が反対方向にまわると10分ごとに出会い、
同じ方向にまわると兄が弟を50分ごとに追い越す。
兄と弟の速さの比(兄:弟)はいくらか?



      mazuha jibunde kangae tene!



解答解説

・出会いの距離÷2人の速さの和=出会うまでの時間(10分)
・追いつきの距離÷2人の速さの差=追いつくまでの時間(50分)

ここで「出会いの距離」も「追いつきの距離」も「池1周」で等しい!!
この「距離が等しい」ということに気づくのが最大のポイント!

また10分:50分=1:5

上の言葉の式を書き直すと、

・距離(池1周)÷2人の速さの「和」=1(かかる時間の比)
・距離(池1周)÷2人の速さの「差」=5(かかる時間の比)

すると、これを見ただけで、「和」:「差」=5:1(1:5の逆比)とわかる。

この逆比は本来「距離が等しいとき、速さと時間は逆比になる」ということによるが、

それを意識しなくても、式の形だけで「逆比」とわかるはず。

あとはこの2人の速さの「和=5」と「差=1」から兄と弟に切り分ければよい。

切り分けるには「和差算」を使えば簡単だ。

「和差算」とは大小2数があって、その和と差がわかっているとき、
大小2数は、

・大の数=(和+差)÷2
・小の数=(和−差)÷2

で求まるという算法だ。

よって、

(5+1)÷2=3
(5−1)÷2=2

正答 3:2(兄:弟)


旅人算の問題において出会いと追いつきの両方の条件が入っている場合は、
一見ややこしそうだけど、出会い算は速さの「和」、追いつき算は速さの「差」で
勝負すると決まっているので、和差算との関係がまるでハネムーン♪なの。


※和差算については次回に詳しく。
【講師プロフィール】

吉武瞳言(6000.jp)

小学生に算数を教えるには、子ども一人ひとりの「思考感覚」に寄り添うことが一番大事。算数はライフワーク。大人のための「算数大学.jp」も運営中。

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音響彫刻家。受験算数・公務員試験の数的処理・SPI3非言語分野を教えてます。解法がすべて。
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